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コラム
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【第5回】LOVEのプログラムが現代のユースに必要な理由

モントリオールにあるLOVE ケベックでは、日々スタッフが現地の高校、グループホーム(日本の児童養護施設のようなところ)、コミュニティなどに訪れ、多様なバックグラウンドを持つユースに対してプログラムを提供しています。

私自身もインターンシップ期間中に小学校、高校、グループホームなど5箇所の異なる教育機関でプログラムを実施しました。どの現場でも、先生やカウンセラーからLOVEのプログラムに対してポジティブな評価やフィードバックをいただきました。また、プログラムの中間や終了時にはユースに対して評価アンケートを行い、そこでもプログラムの必要性を感じる声が多く寄せられています。

なぜ、LOVEのプログラムが現代のユースに求められるのか?

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メディア・アーツ・プログラム(MAP)

LOVEの主軸となるプログラムが「メディア・アーツ・プログラム(MAP)」です。このプログラムでは、クリエイティブ・ライティングやフォトグラフィーなどの芸術活動を通じて、ユースが自分の感情や考えと向き合い、自己表現を行います。また、ディスカッションを通し、グループ内での共有や他者のストーリーを聞くことで、自己と他者の違いを認識し、エモーショナルインテリジェンス(EQ)を育むことができます。

現代のユースが直面する課題

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スマートフォンやSNSの普及、パンデミックによるライフスタイルの変化などにより、現代のユースは他者との関わり方が大きく変化しました。その結果、孤独や孤立を感じるユースが増加しています。

特に日本では、自己肯定感の低さがOECD諸国の中でも最低水準であることが報告されています。例えば、2018年のOECDの学習到達度調査(PISA)では、「私は自分自身に満足している」と回答した日本ユースの割合は50.2%で、OECD平均の66.9%を大きく下回っています。また、「人生の意味を感じる」指標では、日本はOECD諸国の中で最下位となっています。 (PISA 2018 Results (Volume III))

さらに、日本ではメンタルヘルスに関する支援を受けることへのハードルが高く、心理カウンセリングを利用した経験のある人はわずか6%にとどまっています。これは欧米の52%と比較しても非常に低い数値です。 (世界経済フォーラム)

LOVEのプログラムがもたらす効果

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LOVEのメディア・アーツ・プログラムは、ユースが自信を持って困難に立ち向かえるよう、心の健康や感情知能を育むことを目的としています。特に、以下の5つの力を自然に身につけることができます。

  • 自己認知:自分の感情や状態に気づく力
  • 自己管理:感情をコントロールする力
  • 社会的認識:周囲の状況や感情を理解する力
  • 対人関係スキル:人と良い関係を築くための力
  • 共感力:他者の立場や気持ちを理解する力

実際に、LOVE ケベックのプログラムを実施した高校での調査結果では、以下のような成果が報告されています。

  • 高校卒業率:92%(ケベック州の卒業率平均は64%)
  • 進学意思の継続:97%
  • 社会的困難への対処力:80%の生徒が向上を実感

また実際にユースからのフィードバックでは”安全な空間(Safe Space)”や”他者との関わり”についてのポジティブなコメントが多く見受けられます。

How it gives me a break in the day but also gets me to socialize more and understand different points of view. 
(一日の中でほっと一息つけるだけでなく、人と関わったり、いろいろな考え方を理解したりするきっかけにもなった。)

Being about to be with my friends and maybe share or hear things that we never really shared with each other.
(友達と一緒にいられて、普段はあまり話さないようなことを共有したり聞いたりできるのがいい。)

There’s no judging in this program. We feel comfortable when expressing ourselves.
(このプログラムでは誰かをジャッジすることがなくて、自分の気持ちを安心して表現できる。)

That I get to spend time with my friends and being in a safe space.
(友達と一緒に過ごせるし、安全な空間にいられるのが嬉しかった。)

日本での展開:As iZ – アズ イズ – 

日本でも、昨年カナダのLOVEケベックで研修を受けた日本人スタッフがLOVEのエッセンスを受け継ぎ、日本の文化や社会に適応させたAs iZというチームとしてメディア・アーツ・プログラムのパイロットプロジェクトが東京でスタートしました。

日本のユースが直面している課題に対して、LOVE/As iZのメディア・アーツ・プログラムは有効な手段になると思っています。ユースが安心して自己表現できる環境を提供し、自己認識や他者理解を深めることで、彼らの心の健康、そしてエモーショナルインテリジェンスを育みます。

同年代の友人たちと新しいスキル(カメラ)を学び、楽しみながら、知らない間にユースに必要なスキルを育むことができる、このLOVE/As iZのプログラムは、現代のユースにとって素晴らしいプログラムだと思っています。

孤独や孤立を感じたり、日常の中で自分の心と向き合う時間がなかったり、他者との直接的な関わりが減っている環境にある現代のユースにとって、LOVEのプログラムはユースの心の成長をサポートするために必要なプログラムです。

今後もLOVEでの活動、そして日本でのプロジェクト”As iZ”についても紹介していきたいと思いますので、ぜひ多くの方に興味を持ってもらえると嬉しいです^^!

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